2012年12月13日木曜日

次回の読書会は12月20日(木曜日)です。


現社研の皆さん、駒場祭企画では、お疲れ様でした。

次回の読書会のお知らせをします。下記のとおりです。
 
●日時:12月20日(木曜日)18時30分〜

●場所:キャンパスプラザB312(現社研の部室)

●テキスト:橋川文三「昭和維新試論(抜粋)」(中島岳志編『橋川文三セレクション』所収 岩波現代文庫 2011年)
●趣旨:

テキストである「昭和維新試論(抜粋)」は、単行本として出された『昭和維新試論』(朝日新聞社)の冒頭部分の抜粋になります。

ナショナリズムの水脈を探る――なぜ人はナショナリズムに走るのか?」という問題意識にて、上記の読書会をおこないます。わたしは、この読書会によって、日本のナショナリズムを解剖するまでに至ることができるかどうか、自信があるとまでは言い切れません。ただ、ひとつ言えることは、上記のテキストの読解を通じて、「渥美勝」という無名の一右翼人の生涯を俎上に載せつつ、昭和期ナショナリズムに少しでも肉薄することができるのではないか、という淡い期待があるということです。 

つまり、橋川文三(1922-1983)は、このテキストにて、「渥美勝」というナショナリストの内面世界や心象風景(それは、日露戦争後の青年の心に広がった不安と疎外感を素地とするものですが)を描き出し、昭和期ナショナリズムの特異性を浮かび上がらせることに、ある一定程度成功したのではないか。同時に、日本のナショナリズムの現代性の一側面をも言い当てたのではないか。この現代性ゆえに、近頃増幅する日本の「領土」ナショナリズムや排外主義に対する分析にも役立つのではないか。そう、わたしは期待するのです。

<現代日本社会に徘徊する内なる「渥美勝」を照射することで、わたし達の内面に巣食う「渥美勝」をあぶり出す>。確かに、「内なる」云々という表現自体が言い古されたものでもありますし、現代社会に生きるわたし達と「渥美勝」との半ば絶対的な距離も感じないわけではありません。ただ、わたしは、ナショナリズムの外部からナショナリズムを指弾することを否定するつもりはありませんが、現代ナショナリズムに対して内在的な批評を加える作業も無意味ではないと考えます。
 
そのような趣旨で、分量は55ページと少なめですが、あえてこのテキストを選びました。

次回が今年最後の読書会になります。年末の忙しい時期かと思いますが、ぜひご参集ください。よろしくお願いします。
 
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(文責:飯島)