2013年5月31日金曜日

次回の学習会は6月5日(水曜日)です

 次回は6月5日です。テーマは「国際社会における法の支配」です。形式としては、報告者(現社研の所属会員)による発表形式をとります。そのため、次回は読書会形式ではありませんので、指定テキストは特にありません。詳細は下記のとおりです。皆さんの奮っての参加をお願いします。

学習会

テーマ
「国際社会における法の支配」

日時
6月5日(水曜日)18時30分〜

場所
キャンパスプラザB312(B棟3階 現社研部室)


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現社研は、会員それぞれの個性と問題意識を尊重しつつ、幅広い視点から、現代社会を複合的に捉えることを目指して活動しています。4月の新入生歓迎期間は終了し、現社研は通年どおりの活動に戻っていますが、引き続き、現社研の学習会・読書会への見学を歓迎しています(もちろん、新入会員も随時募集しています)。

次回(6月5日)は発表形式をとりますので、文献を事前に読んでくる必要もなく、予備知識なしでも大丈夫です。事前登録も必要ありませんので、お気軽に部室までお越し下さい。

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さて、今回(529日)の読書会のテキストは水町勇一郎著の『労働法入門』(岩波新書)でした。報告者の方はお疲れ様でした。普段、法律書などを繙く習慣のない(法律に対して苦手意識が強い)私にとって、この本は「入門」と謳っているように、法律の学習への橋渡しに適ったものでした。とくに、将来社会人となる私たち学生にとって、労働法は「基礎知識」とも言える存在だけに、労働法の食わず嫌いは大きな損失といえるでしょう。私は、恥ずかしながら、「解雇権濫用法理」「不当労働行為」「36(さぶろく)協定」「ユニオン・ショップ」などの用語は、マスコミ等で耳にしたことはあるけれども聞き流してしまっていて、正確な理解を怠っていたと反省すること度々でした。それだけに、今回の読書会は労働法に触れる貴重な機会だったと思います。

今回の学習会では、主に次の点が議論となりました。すなわち、①日本における、近年みられる労働市場の規制緩和の動き、②日本における、労働問題について裁判所の利用件数の少なさ、などでした。

まず、①については、労働者派遣法(1985年制定)などに象徴されるように、使用者側の意向のみを反映させるような動きが見られます。その動きは、一部の労働者には利点もあるかもしれませんが、総じて、労働者側にその弊害が生じているのが、実態ではないでしょうか。使用者側は労働者の雇用を維持するという“責任”を放棄して、利潤追及のみに邁進しているのは、それが使用者側のある種の「宿命」だとしても、好ましいものとはいえないでしょう。

また、②については、労働問題について裁判所の判断を仰ぐことが労働者側にとって依然として壁が高く難しいという現状があります。労働審判制度の導入などで一応の改善もみられるのかもしれませんが、労働組合の形骸化・弱体化が進むなかで、労働者が泣き寝入りをしないための制度設計が求められます。

生涯にわたっていくつもの職を転々とする欧米型の雇用形態と、一生涯同じ会社を勤めあげる長期雇用慣行が特徴の日本型の雇用形態とがよく比較対照されます。自由さのある代わりに自己責任の強い欧米型のほうが望ましいとされますが、しかし、当の欧米人も「就職するならば長期雇用のほうがより望ましい」と答えるという話も耳にします(ある種、当たり前の話ですが)。「どちらが良くて、どちらが悪い」という話ではないのでしょう。

労働法のそもそもの目的は、使用者側に対して労働者側が経済的など様々な点で不利な立場にあるという、力関係の非対称を是正することにあります。「労働法は不要であり、民法だけで対処可能だ」という、使用者側からの発言も近年話題となっています。しかし、19世紀から今世紀に至る、脈々と受け継がれ発展してきた労働法の成果を安易に手離すことは、労働者にとって大きな損失となると私は考えます。労働法の”無効化”が進もうとしている現在、マスコミ報道などを通じて、これらの動きを注視していきたいです。

【文責:飯島】