2015年10月17日土曜日

次回の読書会は10月20日(火曜日)です


次回の読書会

○日程:1020日(火曜日)1930分から
 
※普段よりも開始時刻が30分遅いので、お間違えのないようご注意ください。

○場所:キャンパスプラザB312(TOSMOSの部室)
   ※なお、部室(キャンパスプラザB棟)へのアクセスについては、下記のリンク先の地図を参考にしてください。http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_43_j.html
○テキスト:小島剛一著『トルコのもう一つの顔』(中公新書 1991年)
 
※上記のテキストの全体を扱いますので、図書館で借りるか購入する(740円+税)などして、各自でテキストを入手のうえ、できれば読んできてください。

○報告者:TOSMOS会員

○テキストの内容紹介:

<言語学者である著者はトルコ共和国を1970年に訪れて以来、その地の人々と諸言語の魅力にとりつかれ、十数年にわたり1年の半分をトルコでの野外調査に費す日日が続いた。調査中に見舞われた災難に、進んで救いの手をさしのべ、言葉や歌を教えてくれた村人たち。辺境にあって歳月を越えてひそやかに生き続ける「言葉」とその守り手への愛をこめて綴る、とかく情報不足になりがちなトルコという国での得がたい体験の記録である。>(『トルコのもう一つの顔』カバー紹介文より)

なお、今後の学習会等の際には適宜、終了後に駒場祭に向けた打ち合わせも行う予定です。)

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 TOSMOSは、現代社会の様々な問題について、その本質を究明し、解決の道筋を考える東京大学の学術文化系サークルです。
 国際情勢、国内情勢、政治、経済、科学、生命倫理など、さまざまなテーマに関して、学習会、読書会、合宿などを通じて理解を深める研究活動をしています。もし多少でも興味がありましたら、一度わたしたちの活動を見学してみませんか?TOSMOSでは現代社会について一緒に研究する新入会員を募集しています。
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前回(1013日)の集まりでは、インド北東部のナガランド訪問報告会をおこないました。報告者の方、お疲れ様でした。現地で撮影した写真も盛りだくさんで、興味深い報告となりました。

インドを訪れる日本人は少なくありません。しかし、アッサム地方以外のインド北東部にまで足を運ぶ人は極めて少数派ではないでしょうか。地図をみれば、ナガランドを含むインド北東部は、インドからはみ出した飛び地のように、ネパール、バングラデシュ、中国、ミャンマーとブータンとに挟まれるかたちで存在しています。政治的にはインドの一部でありながら、人種、文化も他のインド世界とは異なるうえに、独立運動も続いています。そんなインド北東部のなかでも特に、ナガランド地方は、数年前まで外国人が入ることが難しく、景勝地などの観光資源に乏しい山奥の州でもあります。このように、同地域は、第二次世界大戦での日本軍によるインパール作戦の展開地域ではありますが、われわれ日本人にとって馴染みの薄い地域であることは確かです。それだけに、今回のナガランド訪問報告会は貴重なものとなったでしょう。

ナガランドの州都コヒマの様子は、当日上映された写真からも伺えたように、ゴミが路上に撒き散らされて悪臭が立ちこめるということもなく小奇麗な街でした。物乞いや浮浪者、路上生活者もまったく見られない。オートリキシャも見かけず、インドの他の地域とは雰囲気が異なるとのことです。宗教的にもヒンドゥー寺院や祠も見られず、ナガ人の多数派キリスト教徒なので、教会を多く見かけました(写真からはかなり立派な建物に見える)。民族衣装を着ている人は中年以上の女性以外にはあまりみられず、大半の人は洋服を着ていて、日本的な基準からしても「オシャレ」に見えるとのことでした。

政治的には、独立武装闘争が長らく展開されてきたこともあってか、軍人をよく見かけたとのことです。独立運動鎮圧のためにインド中央政府から投入されたアッサム・ライフル連隊の駐屯地が各所にありました。また、ナガランド特有の問題として「国内移民問題」があります。すなわち、インド北東部はインドの他の地域と違って、インド国籍を持つ者が入域や居住に許可が必要な場合があるのです。現に、報告者は、コヒマに着いた日に買った新聞でナガランドの国境に近いアッサム地域のティマプールでインド人が「不法移民」として逮捕されるという、「奇妙な」ニュースを見たそうです。

今回の報告会は、報告者が度々インドを訪れているだけに(インド北東部は初めて)、単なる観光に留まりませんでした。ナガランドが置かれている地理的・政治的な複雑な側面を的確に捉えており、それだけに、ナガランドの人々の生活の息づかいまでに肉薄した訪問記となっていました。

【文責:飯島】